『科学する麻雀』 とつげき東北

 

科学する麻雀 (講談社現代新書)

科学する麻雀 (講談社現代新書)

 筆者の目的は明らかだ。とつげき東北は明らかに『牌賊!オカルティ』の梨積港と同じ目的を持ってこの本を書いたに違いない。『牌賊!オカルティ』においてデジタル派の雀士、梨積港は「デジタルクルーズ」というデジタル派雀士のグループを組織し、そのリーダーとして君臨している。麻雀界のタイトルのほとんどをデジタルクルーズの雀士が制覇しており、デジタルクルーズの、ひいてはリーダーの梨積港の麻雀界に対する影響力は極めて大きいものとなっており、デジタルクルーズの影響力を持って麻雀界全体に君臨することを目的としているかのようだ。しかし、梨積港には「デジタルクルーズ」を作り上げた別の理由が存在する。それは、皆がデジタルに打つようになることで、梨積港の読みのノイズを排除する、ということだ。この本を手にとって読み始めて、まず梨積港の「デジタルクルーズ」のことが頭に浮かんだ。彼の陰謀を達成させるわけにはいかない。みんな、好き勝手に打つがいい、流れを信じて打つがいい、迷信を信じて打つがいい、早いリーチに1-4崇を止めるがいい!(まあそうすると合理的に打ってる人間が勝つんだろうけどね)
 まあ冗談はさておき、僕の周りで麻雀強い人ってのは、筆者が言うみたいにある条件の下ではこう打つってのを機械的にやっている人間ばっかりだ。みんな勝率は高いんだけど、あんまり麻雀が面白くないとは言ってた。僕はまあ勝つのも目的だけど、「流れ」を信じて打ったり、「オカルトシステム」を信じて打ったり、危険だと「感じた」牌をとめたりして、それがハマったときの(確率的には低くても、だ)カタルシスを味わうのが一番の目的なので、ピンフは即リーが有利だと言われても純チャンタ三色の手変わりを待って8000オールをツモりたい。それがデジタルアウト、でもね。
 本の内容にはものすごく満足。たしかに、根拠のある麻雀戦術書というのはものすごく貴重だ。