『ジョン・ケージの音楽』 ポール・グリフィス
- 作者: ポールグリフィス,Paul Griffiths,堀内宏公
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 単行本
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- アーティスト: 高橋悠治,ケージ
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2004/12/22
- メディア: CD
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この本は他にもケージの作曲の特徴のいくつかを楽譜を参照しながら易しく教えてくれるとてもいい本だった。「少ない音のレパートリー」による作曲(僕の好きな、おもちゃのピアノを使った曲に顕著)や、星座図を使った作曲(《アトラス・エクリプティカリス》)、サボテンに触れる音がアンプリファイドされるように指示があり「小さな音」への関心がうかがえる《木のこども》、《枝》など。こう言った幅広いケージの仕事に対しては面白がるのが精一杯だけど、ケージが「作曲者」という地位から漸次後退していき、演奏者や聴衆をそのポジションに置くように企むような謀をなしつつ、それでも聴取上、面白くかつ美しい音楽を作っていたということは驚きに値すると思った。
- アーティスト: Alva Noto & Ryuichi Sakamoto
- 出版社/メーカー: Raster
- メディア: CD
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- アーティスト: Luc Ferrari
- 出版社/メーカー: Bvhaast
- 発売日: 2004/04/08
- メディア: CD
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Luc Ferrariの《Presque Rien Avec Filles》はフィールド・レコーディングした音源を処理して聴取に耐えうる自然を捏造したものだけど、曲中で繰り広げられる会話を聴いていると何を自然と感じて何を音楽と感じるかっていうのはとても線引きが微妙だと思う。その会話はフランス語によるもので、一見日本の田舎の夏の景色を頭に浮かべながら聴いていた印象に突如違和が生じるんだけど、そこに日本語による会話が挟み込まれたりしたら、やっぱりなんとなく白けてしまうし、フランス語による会話だからこそ映画を観ているような気分を続けられるんだろう。ただその様に考えるのは当然のことながら僕が日本語を解する人間だという条件があるからだ。電車の中で読書していても、外国人の会話は気にならないけど、日本人の会話は気になってしょうがない。日本語も単なる音として聴ければいいんだけど、とそんなことを考えるのは真横の会話があまりにうるさくて怒りゲージがマックスになっているから。