『大括弧 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置』 中西夏之

 就職活動のセミナーではポーズだけでも、と一番前の席で講演者の目を見ているし、OB訪問をしても勿論なるべく相手の目を見ながら話を聞いている。僕は聞いてるんだか聞いてないんだかって感じに伏目がちなのが常態なので、こんなにたくさんの視線を摂取してしまうと基準値オーバーで危険な状態になってしまう。
 中西夏之はこの本の冒頭の文章「始まりの眺め」で(って正直に言うとここしか読んでないんだけど)、どうして人はふと海が見たくなるのか、という疑問を提起している。そしてその答えというかなんというかがこれ。

私達は海岸線に立ち、水平線を眺めている時、今までつきあっていたさまざまなもの、さまざまな顔とそこから照射する眼差しから眼をそらせることができる。

 電車で前に座ってる人と、漫画喫茶の店員と、雀荘の対面と、そして勿論就職活動の関係各位様と僕は視線を交換している。無防備に顔の平を晒し、他人の視線が僕に溜まる。なんとなく人の目を見る癖がついてしまったんだなあ。満員電車の中に座る席を必死で確保してぼんやりしながら海見にいきてーなーなんて思ってたとこにこの文章を読んだのでちょっとびっくり。


弐瓶勉画集 BLAME!and so on

弐瓶勉画集 BLAME!and so on

 あとこれを買った。「MEGALOMANIA」シリーズに大満足。