『暗闇の中で子供』 舞城王太郎
- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/09/06
- メディア: 新書
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ところで、四郎と三郎の推理のスタイルの差異は、三郎=舞城としたときに、他者の理解できなさの究極の形として現れているんじゃないかとか思った。舞城にとって、キャラクターである四郎はあくまで他者であり、推理の結果はともかくその過程は「わからない」、よって結果だけが提示されることになる。対して三郎のあまりにウジウジとした推理は、あくまで自分の(舞城の)思考過程の描写として書かれているから、そのように記述されることになっているんじゃないかなあとか。僕たちは相手の考えていることを推測することはできるけど、究極的には相手の発言や行動を、聞いたり見たりすることしかできない。その究極が四郎の推理なんだ。