『新宗教と巨大建築』 五十嵐太郎
- 作者: 五十嵐太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: 新書
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建築がどのように教団の教義や理念を反映しているかを記述する以上、当然それらの教団の成り立ちや展開についても触れられているから、日本史選択者であるならば受験時に名前だけは学んだ天理教、金光教、大本教の3教団についてコンパクトにまとまった歴史や教義を知ることができるのでそれだけでも面白い本だと思う。
僕が興味ぶかいと思ったのは導入部で触れられたサティアン論で筆者がサティアンは初期の教団建築としては特殊なものではないと述べていることだ。それは、天理教でもそうだったし、むしろ教団初期の場合は教祖個人の性格に左右されることが多いからだろう。あの不気味なサティアンを、ただ不気味なものとしてしか見ない視線ではなく、そのような冷静な目で見ることが出来るのはすごいなあと思う。サティアンへの警察の立ち入りの様子なんかを朝のニュースで見ながら、当時小学生だった僕もあの建物の不気味さを感じていたような気がする。得体の知れないあ人間達が住んでいる得体の知れない不気味な建物。それを不気味なものとしてではなく、教団初期だから…なんて言ってしまえるのはすごいなあと思う。オウムを特別視するんじゃなくて、1つの新興宗教として見るのは本当に難しいだろう、そもそも新興宗教に対する偏見を取り除いてこういった本を書くこと自体がとても困難だろうと思う。