本としては少し僕の肌にはあわない感じだった。あと、新書のわりには結構内容が高度だった気がする。
分裂病=
統合失調症の中心に迫害妄想をおいて、その視点から
分裂病=
統合失調症論の歴史を整理してみたりしてる。迫害妄想てのは対人/
社会恐怖様段階→迫害的幻覚・妄想期→夢幻様状態という風に進行していくらしく、それぞれの状態についての症例が紹介されるのでそれは理解しやすい。簡単に言うと、だけど最初はなんか人とうまく
接触できなかったりして、何かその背後の組織の影などを見るようになり、最終的には宇宙規模の陰謀を感知してしまう、という感じの展開。紹介される症例を見ていればわかるんだけど、妄想の展開は陰謀がどうとかってほとんどどれも同じでワンパターンな展開。ワンパターンてことは、ロマンティックで不思議で危険な病気なんかではなくて、ただの病気なんだっていう考えに繋がる。この迫害妄想を
分裂病=
統合失調症の基本に置かれていることで、その症状の進行とか発生への理解もしやすくなる。実際この人の論が妥当なのかどうかは筆者自身にもまだはっきりしてないみたいなのだけど、まあ面白いとは思った。ただ、最初に書いたように本としては読みにくかった。もう少し図とか使って教科書的な整理をしてくれれば読みやすかったのにな、と思う。
しかし、「ある日突然すべてが繋がる」ような陰謀を発見云々って、僕の大好きな
三百人委員会*1そのものだ。
三百人委員会の提唱者のコールマン博士は元英国
諜報機関所属で、そこでの活動の中で全世界規模の陰謀を察知した恐るべき慧眼の持ち主なんだけど、実際に彼が英国
諜報機関に所属していたとして、まあそこで人間関係がうまくいかず、昇進もできなかったりして、その中で迫害妄想にとらわれた結果「
三百人委員会」が生み出されたんじゃないかなんて思ったりした。
僕は中学1年生の頃
三百人委員会の存在を少し信じていました。