実家のマンガ

 今日の午前中は実家の本棚から一人暮し先に持っていくマンガを選別していた。大学生になってから読んでいるマンガより素直なものが多いなあと思ったよ、読んでいる本人は大学生になって高校生の頃よりは大分素直になったんだけど。『天使禁猟区』とか『I'll』とか『エリートヤンキー三郎』とか、今読んでもそれなりに面白い。けどわざわざダンボールに詰めて持っていくほどかと言われると微妙だった。


 というわけで今回は『多重人格探偵サイコ』を送ろうと思う。しかも4巻だけ!どうしようもなく渡久地が好きなんだ。彼の報道カメラマンとしての出世作である「生首」の少女の視線を彼はライブ会場において再度受けることになった。正確にはイジメられている彼女を助けた時点から彼は「生首」の視線を受けていたわけだが彼の抑圧された意識はそれを「生首」の視線としては受けない。彼が学窓からの保護を求めて降伏を決意したとき、彼には独裁者のバーコード写真のこと、CATVのカメラマンでしかない自分のこと、学窓の末端の構成員であることなどがフラッシュバックしたのではないだろうかと思う。ヤラセの中途半端な「生首」は公表されないバーコード写真や不遇の境遇にリンクしているんだから。2度目の降伏の決意が彼女の視線を「生首」の視線だと認識させる。彼が再度「生首」に見つめられた時、彼はもはや2度目の妥協を許容できる状態にはなかった。降伏の決意が、降伏を許さない意識を掘り返したんだ。渡久地は全一に対して銃を向け、立ち向かって死んだがそれは中途半端な渡久地の人生のピリオドとしてはとってもふさわしい。くだらないプライドを守るための特攻。