それにしても…

 太陽即死して欲しい…。暑すぎる。活字を読むぞ読むぞー!と思って無理に読んでるのだけど、頭になかなか入らない。汗でベトベトしてイライラしながら読んでるからかなあ、それに加えて元々頭と心の出来がよくないので!で、楽な方楽な方へ流れていくよ…絵が描いてあってわかりやすいわー!Vive la MANGA!中学3年のときから毎年のように「今年こそ純文学読むぜー!」と吹聴してまわっているのだけど一度も実行したことがない。
 とか言ってる癖に本屋ではついついマンガを買ってしまう。木端微塵*1行けない可能性が出てきた…今財布の中に1000円しかないし。行けなかったらごめんなさい、と。で買ったのはいくえみ綾『あっさりショコラ(仮)』(集英社)。少女漫画だろうが少年漫画だろうがギャグが適度に混入されてる漫画ってのは好きだなあ。作者のセンスが出てすごく良い。それはまあ本筋じゃないからおいておいて、「ベビー クラウド ノー レイン」という短編がすごく面白かったのでそれについて少しだけ。
 両親がいなくて親戚の家に住んでいた男の子と元気な女の子が同棲を始める。そしたら同棲先に「男の子の父親に妻を寝取られてその上そのショックで体調崩して会社も首になった」っていう悲惨な男性がやってきて、男の子に慰謝料を請求してくる。結局その支払いは拒否するんだけどその後もその男性は2人にかかわってくる…って話。以下は結末も含む。
 最終的に男の子と男性は和解することになる。「毎月五百円ずつあんたが生きてる限り忘れないで払う!」という宣言がなされることになるんだ。男性は元妻の絵に対して理解をしてあげなかったことを後悔していた、「ただ…もうちょっと…私がわかってやればよかっただけで」。その元妻はもういないから今更理解をしめしてあげることもできない。ちなみに男の子の父親と元妻が出会ったのはカルチャーセンターの水彩画教室。「理解をしめしてあげればよかった」という思いは債務になってる。男の子への慰謝料要求は的外れだけど、他にこの債務を償還する方法を思いつかなかったんだろう。ただ、この債務が一気に償還されてしまっては何の意味もなくなる、その時点ですべてが終わってしまうからだ、これでは元妻がなんだったのかわからない。「毎月五百円ずつ」というのはすごくシンプルだけどスマートな解決方法だ。全てが一気に解決するわけではなく少しずつ、重荷が減っていく。恋愛の後始末なんていうのはゆっくりなされないとダメっていうのを「お金」を象徴的に描いているのは面白いと思った。男の子と女の子は実は脇役なんだぜ。もいっこ面白かった短編「ブローチ」は、新しい家が建ったのと別れるタイミングの重なりが絶妙で良いなあと思った、新しく建った家に彼氏さんが嫌った(?)キリムが使われているのもすごくよい。

 っていうか単純に絵がかわいくて話もかわいいのでいくえみ綾は好き。『バラ色の明日』ももっかい読み直そう。好きといってもこれと『バラ色の明日』以外読んでいないのだけど。