試験終わってから

 びっくりするくらい本を読む気がしなくなった。やっぱり何かしなければならない状況下で焦りながら、なぜこんなことをしているのかという疑問を胸に頁を捲るのが一番楽しい。なので、ナンセンスエロマンガ山本直樹の最高傑作であると僕が思っているところの『ビリーバーズ』を昨日1日で3回くらい読み返す。何度読んでも、最後のコマのかっこよさったらないなあ。教団崩壊後、牢獄でいまだに儀式を続けるオペレーターさん。議長さんは現実での戦いをなおも続行している、彼からの誘い、しかしオペレーターさんはそれを受け入れない。牢獄の中から一転して妄想世界の湖の上のボートでオペレーターさんと副議長さんが2人。「どこまで行くの?」「向こう岸までさ」。       
 believers、議長さんは現実の戦いを続行している、つまり教団へのbelieveを放棄していない、一方オペレーターさんは妄想をbelieveし続ける決意をする、向こう岸まで、あっちの世界まで。彼は牢獄の中で、副議長さんと2人の世界を生き続ける。夢を、妄想を強制終了することなくね。
 新興宗教の世界って、不謹慎かもしれないけど一度体験してみたい。議長さんは死ぬまで信じることをやめられない気がする、仲間と妄想を補完しあえるから。だけどオペレーターさんは、「向こう岸までさ」の決意にかかわらず、おそらく妄想からの脱出を強要される、マインドコントロールの解除やらなんやらでの、世俗の価値観への同化、回復。このマンガはものすごく有りがちな疑問を僕に残す、つまりオウム信者だろうがなんだろうが、その世界で幸せならそれでいいんじゃないか、と。議長さんのあの妄想ぶりを見てるとそんな気がする。