ベルリン・天使の詩 [DVD]

ベルリン・天使の詩 [DVD]

 友達に薦められて見た。天使の視線とカメラの視線の類縁関係を思ったりした(ないものと扱われながらも何らかの影響を及ぼさざるを得ないところとか、現実への介入にあたって無力なところとか)、とかなんとかいうのは嘘ではないにしろ、ポツダム広場に座る老人や、触れない=触れることを繰り返す天使達の表情なんかがふと甦ってきてそれ以外には何も残っていないような気もする。物語としての秀逸さと同等かそれ以上に、様々なイメージが強い印象を持って襲ってくる、それは後から、不意にやってくる。
 ところで、現在のポツダム広場はおろか老人の記憶の中の在りし日のポツダム広場(http://www.arch-hiroshima.net/a-map/germany/potsdamerplatz.html)よりも、焼け野原となっている映画中のポツダム広場は魅力的に見える。その魅力というのは老人の語りに含まれる輝かしい記憶が焼け野原に透明に重ねあわされていることによるものなのかなと思う、現在のポツダム広場は有名建築家の建物によって埋め尽くされてるみたいだけど、どこかにそういう個々人が持つ土地の記憶みたいなものが残されてはいないのかな。ってナイーブ過ぎるか。
 そういや攻殻2ndGIGの18話「天使の詩 TRANS PARENT」の元ネタってことは知ってたけど、あの天使像にバトーが座ってるシーンだけじゃなくて、光学迷彩で見えなくなってる≒見えない天使なんだね。光学迷彩で姿を消してる天使なんてロマンチックでもなんでもない…。


ミース・ファン・デル・ローエ [DVD]

ミース・ファン・デル・ローエ [DVD]

 まあがっかりしてもいいからそれでもドイツ(ポツダム広場)に行きたい、なんてミーハーなこと思いながら続けて見たのがこれ。アメリカに行きたくなりました。


ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

 更に続けて見たのがこれ。大量に釘が刺さったパンだとかなんだとか、オブジェのレベルで恐ろしさを感じる。日常的な事物が不気味に異物化していることによって、なんとも言えない不安がもやもやと醸造された。映画としては退屈だった気がするんだけど、細かい所に気を配りながら見ているといつの間にか終わっていた、退屈ってなんだろう。
 追記:なんか美容院で雑誌を捲ってるとシュヴァンクマイエルとアンダーカバーの人の対談が載ってたから読んでみたんだけど、シュヴァンクマイエルは少年時代に母親の出す食事を拒否したりしてたらしい。はー、それでねと思ったので一応メモしておく。あんまりこういう背景だとかなんだとかには興味ないんだけど。