ネタバレを含む
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2002/06/28
- メディア: DVD
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決定的なターニングポイントとなっているのは、星野が札束を奪うシーンであることは間違いない。あの「札束」は沖縄旅行において時限爆弾としての役割を果たしている。沖縄旅行中盤以降に見られるあの持続する緊張感は、それ以降も合唱の舞台上における視線の交錯や、久野が倉庫に吸い込まれていくシーンなどにも見られて、見るものの神経を磨り減らす。そのような潜在的な危険性が顕在化するシーンにおいても、抑制は保たれており、明らかに首吊りを暗示させるカットを含んだ一連のラストシーンをアンチ・クライマックスとする全体的に端整な映画だった。そのような見掛けの端整さと、実際に観者に与える影響の落差が見事。星野が叫び狂うシーンにおいても、いやそれどころかあらゆる死のシーンにおいてすら、カタルシスが与えられることはない、しかし僕らは確実にダメージを受けている。