酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

 探偵が酒国市でおきた食人事件を探る物語、作者莫言と酒国市の文学者の往復書簡、さらに酒国市の文学者が莫言に送りつけてくる奇妙な小説が入り混じった小説。多少難解な小説だけど後書きを読めば理解するのは難しくない。

彼は「嬰児の丸焼き」食人事件の真偽を探ろうとするが、事件自体が酒国市文化の中では虚構と想像なのである。あるいは酒国市の人はそのゲーム文化の原則に基づき、想像の中で食人しているといえよう。

 このゲームの文化が理解出来ない異端分子の主人公は、ついには肥溜めの中に沈んでいく。事件自体が虚構と想像というよりももはや事件の舞台である酒国市が酩酊状態にあるのだ、そんな酩酊状態が常態であるような場において、真実を探求しようとする探偵(特捜検事)なんていうものは「空気が読めない」人間にしかすぎないということになる。

あったかもしれない日本―幻の都市建築史

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 明治から戦後までのアンビルト集。

ゲルハルト・リヒター写真論/絵画論

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