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  • 菅原教夫『ボイスから始まる』
  • 多木浩二『シジフォスの笑い アンセルム・キーファーの芸術』

 とりあえず図書館に返却するのを忘れていたので返却しましょうね、というメモ。キーファーの方はボイスとは異なっていて、芸術家の才能を特権化している。その芸術家の才能っていうのは多木に言わせれば歴史のエネルギー(歴史学的な意味でない歴史、ヒストリカル・フィールド)みたいなものを感知する能力だという。『パルシファル』や『ズラミート』、『リリトの娘たち』や『イアーソン』みたいな作品には画集(『Anselm Kiefer : the seven heavenly palaces 1973-2001』)からでもそのようなエネルギーを感じることができる、重い空気。また、文学的な作品だと思った。絵画と文学というジャンルを越境することがいいことか悪いことかは別にして。
 ボイスの方は二元論的な図式の使い方がうまくてわかりやすかった。ディオニュソス的/アポロン的という図式はとくにボイスの作品の性格をわかりやすく理解させてくれたと思う。ボイスとナチスの関係、ボイスの神話、アクションの読解、社会彫刻という概念などをコンパクトにまとめている良い本だった。

 そういえばレムの『ソラリス』を読み始めたんだけど、これはやばいなあ…。