『パラケルススの薔薇』 J・L・ボルヘス

 今度はReading Batonらしいです、id:jasperさんはじめまして、がんばって答えます。

 アンテナに入れているところかなあ、あんまりアンテナにぽんぽん登録するわけではないので。

  • 今読んでいる本

 この本に収録されている「青い虎」という話を昨日の夜中に読んで相変わらずボルヘスはすごいと思った。世界の秩序を乱すようなアイテムを手に入れた男の話。青い種類の虎を求めてインドへ行ったその男は、青い虎の代わりに青い石を手に入れる。その石は、無秩序に増えたり減ったりするという性質を帯びていて、その増減にはあらゆる規則性を見出すことができない。彼は結局そのような世界の秩序を崩壊させてしまうようなアイテムの重荷に耐えかねてモスクへ祈りに行く。そこで出会った乞食へと「私の恵み物は、それは恐ろしいものだぞ」という注釈付でその青い石を全て恵んでしまうのだ。そしてその恵みに対する乞食のセリフが以下

「お前さまの恵み物がどういうものか、わしにはまだ分からんが、わしからの恵み物は、それはそれは恐ろしいものじゃぞ。昼と夜、分別、習慣、そして世間なぞがお前さまのものじゃ」

 彼は結局秩序ある世界へと舞い戻る。青い虎は夢幻となって。

 あとナボコフの『青白い炎』なんかも読んでる。まだ注釈部の最初の方だけどちょっと読んだだけでもシェイドとキンボートの温度差が伺えて笑える、最後まで読まないと/あるいは読んだとしてもそれが誤読かもしれないけど。誤読かもしれないけどと言ったところで、この本が最高の誤読評論小説なんだからそれでもいいのかもしれない。ゼンブラゼンブラ。
 

  • 最後に買った本

 ブックオフで買ったP・オースター『幽霊たち』とP・K・ディック『悪夢機械』、テリー・イーグルトン『アフター・セオリー』です。

  • 好きな作家

 好きな作品を書く作家とあるいは面白い小説を書いていたから他のも読みたいと思う作家として以下
 ガルシア・マルケス(『族長の秋』を読んでないくせになんですけどね)、ボルヘス(共著のものにも面白いものが多い)、村上春樹(初期三部作以外はあんまり読んでない)、村上龍(『5分後の世界』と『愛と幻想のファシズム』に小学生のとき痺れた)、U・エーコ(中学の修学旅行のときほとんど誰とも会話せずに『薔薇の名前』を読んでた、『前日島』も読まないとなあ)、佐藤友哉(『新現実』に連載してる(た?)やつ以外は全部フォローしてるくらい好き、鏡家のやつは最近つまんないね)、清流院流水(嫌いな作家)、上遠野浩平(ペパーミントの魔術師までの上遠野は本当に大好き)、レム(『虚数』は僕の高校生のときに読んだものでもっとも衝撃的だった本の1つ)
 メフィスト賞系作家を除いて有名だからとかみんなが読んでるからとかで読み始めたものはほとんどなくて、本屋で帯だとかジャケットだとか背表紙の解説だとかを見て読みはじめたものばかりなので後から村上龍が「あんなの」だと知ったりしてビックリしたことが多かった。
 漱石とか芥川とかは、読んで面白いとは思うんだけど(2,3冊ずつしか読んでないけど)好きってほど好きにもなれない。

  • よく読むまたは、思い入れのある本

 村上春樹羊をめぐる冒険』、村上龍5分後の世界』かな。あとエーコフーコーの振り子』。面白いから好きというのは後ろ2つで思い入れのある本が一番前。
 あ、吉川三国志を忘れてた。僕は小学生のときにこの全8巻を1日1冊読んでちょっと目が悪くなった気がする。最近読んだ小説の人名とかって読んでる最中も全然覚えられなくて、役割を覚えているだけなんだけど、三国志の人名は阿会喃とか兀突骨とかどうでもいいのも覚えているよ。あと、馬謖のバカさは本当にいつ見ても笑える。無能過ぎ。

  • この本は手放せません!

 古本屋で買った会田誠『孤独な惑星』はもう手に入らないみたいだし、時々見ると笑えて元気が出るので手放したくない。そんなに大事な本というわけでは、ない。

  • 次にバトンを渡すヒト3名

 できればこれを見た人でやりたいと思ってくれた人が、この企画に関わらずにこういうことを書いてくれるとうれしいなあと思います。バトンだとかはいい加減うんざりなので。みんながこういうのを書いているのを見るのは楽しいんだけど。アンテナに入ってる人達がこういうものを書いてくれると嬉しいです、ということで。渡したいけど渡さないというのをこの削除線から読み取っていただきたい。