24年組

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

 性的にマジカルな少年の同性愛…?受験日本史以来、古代日本史にはさっぱり触れていなかったので懐かしさがこみ上げてくる。蘇我氏だとか物部氏だとか、本当に懐かしい。蘇我毛人(蝦夷)の視点から、宮廷内部の争いとか、蘇我氏と大王家の関係とか、蘇我氏の家の中が描かれているのもすごく面白いけど、やっぱり中心は厩戸王子。裏表紙の解説にも「まったく新しい厩戸王子像を描く歴史巨編」っていう風に書かれているように、厩戸王子が(少なくとも1巻の時点では)不思議な人物として描かれている。女性と男性の二重人格のようであり、さらに家の内部でも腫れ物扱いされていたり。けどその不思議なキャラとして描かれている厩戸王子が露骨に来目王子(蘇我毛人は厩戸王子の弟の来目王子のお気に入り)に対して嫉妬を示すのが微笑ましい。同性愛、と言ってしまえばそうなんだけど、それ以前の性的に未分化な少年の恋愛、と言った感じがする。これからどうなるのか続きを読むのが楽しみ、毎日まんだらけに行くことになりそう。

11人いる! (小学館文庫)

11人いる! (小学館文庫)

 性的に未分化な少年の恋愛を比喩的な意味ではなくてまさにそのまま描いたのがこの作品。壮大なSF設定を背景に限定された状況下でパニックコメディが繰り広げられる。タイトルが示す通り10人しかいないはずの宇宙船乗組員が11人いるところから混乱が始まる。最終的にどうなるかは別として、11人すべての人間が嫌いになれないあたり作者の才能を感じる。作者の才能を感じる、とか言って今までこの作者の才能をどれだけたくさんの人が感じてきていたのか、まさに今更だな。

美少年 (JUNEコミックス ピアスシリーズ)

美少年 (JUNEコミックス ピアスシリーズ)

 性的に熟した青年によって繰り広げられる同性愛。小野塚の描く女性は、絵が綺麗なのは認めるけどもどうも好きになれない、エロさも感じない。それに引き換え小野塚の描く男性のいかにエロティックなことか!しかし、異能のものでもなければ、成人するにあたって性別を選べるわけでもない、この世界に生きる普通の人間は実に不便なものだなあと思わされる。僕は当たり前に女の子が好きだけど、まあ当たり前に男の子が好きな人もいるんだものな、なんてそれこそ当たり前のことを考えさせられた。「私」のように同性愛の道に堕ちたいのに堕ちることができない、なんて苦しさは理解はしたくはないけど理解できる。「私」が結局あの部屋でのレイプを招来したのも、そしてそれを見捨てて去っていったのは結局は面子のためだけじゃないか。異性を好きにならねばならない、という社会的圧力がなければあの悲劇的クライマックスはやってこない、しかしその社会的圧力があるからこそあの倒錯的なポルノが現れるんだよね。

 それにしても、性的にマジカルだろうが、性的に未分化だろうが、結局は同性愛になってしまうあたりがなんとも。