『沈黙の艦隊』1〜8 かわぐちかいじ

 最新鋭原子力潜水艦1艦を乗っ取り、その上原潜1艦でもって国家「やまと」として独立を宣言した海江田の国際政治的、軍事的冒険を描いたマンガ。日米ソの3か国の思惑を手玉にとって日米ソの太平洋艦隊が一点で顔を合わせるという状況まで演出してしまった海江田。えと今は米ソ艦隊が密約を結んで「やまと」を攻撃し、その「やまと」ならびに「やまと」と友好条約を結ぶ意向を持った日本の自衛隊が対峙しているところ。ソ連艦隊は崩壊しつつあるんだけど…。アメリカは日米安保を無視してソ連と密約を結び、「やまと」を沈めることに執着しつつ自衛艦の撤退を日本政府に求めている。日米緊急会議の席上で官房長官海原が米大統領特別補佐官に「何気取ってんだそこのメガネ そんな要求が呑めるか!」って言うシーンには痺れた。
 「やまと」、イージス艦にまで勝っちゃった…。戦術的駆け引きの部分よりも政治的駆け引きの部分の方が面白い。でもアメリカもだめでソ連にも見捨てられ今度は国連、で、多分国連でも叩かれまくって、今まで全然登場してなかったアフリカとかアジアの国のどっか(あるいはドイツ)あたりの聡明な(聡明な!)国家元首が急に日本と「やまと」を支持するっていう展開になると予想。
 それにしてもかわぐちかいじはわりとワンパターンだな、草加と海江田の人物造形が、ね。