NOBODY

 榎本ナリコセンチメントの季節 8』を読む、なぜか家に8巻だけないので久しぶりに読みたくなったから。8巻にマジレスするようになったら終わりだなあと思ってたんだけど、マジレスしたくなったのでします。きっと徹夜して眠たいからだと思うんだけど、深夜のラブレターを届ける勇気も時には必要だろう?
 8巻はインターネットとかチャットとかいうアイテムが恐ろしいほどわかりやすく使われているのである意味インターネットの皆さんには面白いはず。高校生活に「リアル」を感じられないノボルくんはパパからもらったパソコンでネットをはじめる。Rと名乗る者とコンタクトを取ることになり、チャットで会話をするんだけど、そこで「心と心で会話してる、そんな気がしたんだ」って具合に「リアル」を感じる。そのあと、実際にRと会うことになって、お決まりのセックス。そのセックスシーンはマジで爆笑もので一見の価値が(マウスをクリック!クリック!など)。
 ただ、この一見チープ、実際もチープなこのお話を僕はどうも笑えない。はてなをはじめて以来恥ずかしいことをたくさん暴露してきたけど、この話に共感できるというのが一番恥ずかしい。心だけにも体だけにもなれないとかどうとか、1度くらいはこういうことを考えた人間以外は信用できない。榎本ナリコはよくこのテーマを主題にしているけど、インターネットという道具を使うことで心と体の分離がとてもわかりやすくなっているので1番簡単に理解できるのがこの話になってる。高校生活が楽しかったと思える反面、どうでもいいといえばどうでもよかった気がするあたり、わりとノボルくんに共感できちゃうなあ、リアルを喪失した高校生活!
 まあそれはともかくノボルくんがこれからもう一度誰かと「心と心で会話」することがあるのかわからない、思い出の力というのはあまりに強いものだから、もしかしたらもうそんなことはないのかもしれない。Rとの接触が強烈過ぎたから。しかし、一度でもそういう経験を持ったことで彼は生きていけるのかもしれないなあと思った。僕も、そんな経験があるからで、それを糧に生きていけたらなあと思っているから、つまりそれは希望に近い。最初にある意味面白いはず、って書いたけど僕はこの馬鹿みたいな話を本当に面白いと思ってしまうような気の毒な人と仲良くなりたいなあと思う。

 厨房色が加速しはじめた。