生きる意味を他者に求める 僕の心に革命を

 他人の家でピザを食べながら『クーデタークラブ』(松本光司 講談社)を読む。今この人はヤンマガで『彼岸島』ってホラーマンガを連載してるんだけど、今のヤンマガでは『食べれません』と『彼岸島』がトップを競ってる感じ。
 『クーデタークラブ』は女装趣味のある気弱な高校生が、学校内にある秘密組織「革命部」に巻き込まれていくっていうお話。革命部の部長ユウジはすごくかっこいいんだけど、それは彼についての情報が出てこないが故に魅力的なんだろう、それは最終巻あたりでユウジの輝きが失われることで証明される、まあ謎めいていてかっこいいなんてのはよく使われる手法だけどね。
 高校生くらいの人間のストレスを吸い上げる「革命部」は、実際に存在するはずはないけど妙にリアリティがある。世間に取り込まれ始めるあたりの人間の力は、それを発散させる場所さえつくればとてもとても強い力になると思う。だから、そういう場所である「革命部」っていうものを作るユウジ、作者の発想はすごくうまい。僕が、秘密結社とかを好きなのはつまらない毎日から逃げ出して「秘密の、崇高な」何かの目的のために生きたりしたいからなんだろうなあ。お手軽だしね、そういの。まるで高校生だ、成長してない。
 秘密結社もの*1として見た場合、この作品の評価はある程度下げざるを得ない。革命部は結局その本当の姿が明らかになったとき、ユウジと同様に魅力を失うことになるからだ。現実からの逃避手段である革命部は、結局は現実へのコミットを目的として結成されていたんだから。いや、言い方が悪いな。現実にコミットしているのは構わない、その参加者が崇高な目的のもとに参加していたにもかかわらず、その実態が低俗な、現実というより現実的なものを求めて結成されたものだったということが暴露されるからだね。ちなみにここ最近読んだ秘密結社ものの中ではやっぱり『競売ナンバー49の叫び』がダントツだなあ。冗談と本気の混合はマストだね。

*1:当然、秘密結社が出てくる作品のことを指す。一応言っておくけどそんなジャンルはないはず。