少年は最後から二番目の暗黒星を祀り

 夜、テスト前日なのに朝5時くらいまでマージャンした、しかも大勝しちゃったのでそのお金で朝、本屋が開くと同時にマンガを買う。昼前、勉強せずにマンガを読む。昼過ぎ、テストは出来た、頭が悪くても2日くらい前からやってればそりゃできるよね。


以下、ネタバレを含む


 『記憶の技法』の方は、単純な抑圧解除の話だと思う。年下の姉っていう言葉が不思議ですごく頭についてしまった。4組の金髪さんも、今の両親も、大家さんちのお兄ちゃんも、皆が中途半端なままなのが少し気に入らないのだけど、抑圧された死体の記憶以外にも、幸せな記憶があって、さらに死体の記憶の引き金となりうる金髪くんを抱きしめるっていうエンディングはすごく好きだ。過去を受け入れる、金髪君も受け入れる。あと、差別的な物言いなのを承知な上で言えば、珍しく普通のマンガとしても面白かったなあと思う、探偵マンガっぽくてね。
 『透明人間の失踪』は表題作が面白かったんだけど、その面白さを書くのが少し難しいので先送り、単純な面白さだからなんて表現していいのかわからない。最初の短編の「霜柱の森」の主人公は『記憶の技法』に出てきた金髪君、怜君。宗教かぶれの母親に「世界をたくされた少年」扱いされる子供っていうのが、最近読んだ本に出てきた院政期の幼童天皇を連想させる。幼くて無力だからこそ、穢れがなく、儀式やらなんやらの宗教目的にはぴったりなんだろう。『Period』に出てくる能なんかも怜君に少し似ていると思うんだけどそう言った純粋性、穢れ無さだけじゃなくて、純粋であるが故の狂気、みたいなのを持っている。前にも書いたと思うけど、そういうよくあるイメージを増幅して描くのが吉野朔実はとてもうまいなあ、と思う。