『煙か土か食い物』舞城王太郎 講談社ノベルス

 舞城の『煙か土か食い物』(講談社ノベルス)を今さら読む。最初のサンディエゴから富山への場面転換のギャップがすごい。最近純文学路線って聞いてたから文学チックなのかとばかり思ってたら暗号とか無駄に気合入っててミステリミステリしてて意外だった。あんまり言い過ぎるとネタバレになるからなんだけどバモイドオキ神はやり過ぎ。暗号といい遺留品といい、アナグラムといいミステリ要素は抑えつつそこから逸脱する何かは感じた。それは『煙か土か食い物』が家族小説としても十分成立するんじゃないか?って思わなくもないってことなんだけど、うーん、でもやっぱりミステリ要素を抜いて文学として読めるかといえば微妙かな。この辺は佐藤友哉鏡家サーガにも言える。奈津川家サーガもただそれだけでは物足りないと思うよ。