パルコにて

 100%ORANGE『フルーツの部屋』を買う。絵本作家さんが書いたコミックなんだけど、とんでもないセンス。チープな誉め言葉しか出てこない。「食パン印刷」とか「SUNDAY CUT」みたいな作品のように異質な物の取り合わせを、マンガライズというか絵本ナイズしてほんわか書ききってしまうのに脱帽。けども!「僕はこういうの、あったよね?」ってのをこの可愛い絵で書いちゃう作品の方に僕はズキューンといかれちゃってる。「LAW」は本当に傑作だと思う。子供のころ、横断歩道の白い部分を踏まない、とかそういう自分ルールを決めた経験は誰にでもあるだろう。それが発展してしまうと、偏執的なよくわからない人間になってしまう危険性も秘めているわけだけど、この作品の健全で健康なところは自分法律を犯した子供が、それを犯したら死ぬと決めていたにも関わらず「あと20秒で生きかえれる法律にしよう…ねぇ神様いいでしょう?」の部分。横断歩道の白い部分を踏んでしまったからって本当に死ぬような子供はいない、当たり前のことなんだけどそれが健康なんだ。
 なーんて色々書いてみたけど、一番大事なのは絵が可愛い!ってこと。ただパラパラ捲るだけでニコニコできる。僕は子供よりも大人の人がこういう本を読むと、大事な何かを取り戻せるんじゃないか、と思う。文学もいいけど、コミックでしか表現できないものもある、ナンセンス系のようでいて、ちゃんと意味を持っているよね(もしかしたら自分の好きなように意味を付与できてしまう、そのぽっかりさが凄いのかもしれないと思い直した、意味を持っていてそれを正しく読めてるなんて思い上がりも甚だしいね)。